Barcelona Indie Filmmakers Festival

私にとっては、まるで事件みたいなものでした。


「挑戦はする」「努力はする」

できることはなんだってやるけど、それが実るかどうかは別問題だったり。

「宝くじなんて当たりっこないけど、買わなきゃ当たることもない」

みたいな精神で、

”作った映画に字幕つけて、

より広く観てもらえるように「準備はする」「挑戦はする」

結果はどうなるかわからないけど”

ということで、新作『光をとめる』の英語字幕版のことは以前のブログにも書いた。


海外の映画祭に応募する準備はできて、

トータルで22の映画祭に応募まではやった。

あとは結果を待つだけ、だけど「待つ」のは辛い。

だって、落選する可能性の方が圧倒的に高いのだ。


ちなみに、前作の『カノンの町のマーチ』のときは全敗だった。

「誠に残念ながら…」という連絡しか受け取った経験がない。

『光をとめる』にしても、

実は、もうすでに2通の落選通知を受け取っていた。


だから、

もう、待たない。

「夢」や「ロマン」をお金で買ったのだ、と言い聞かせる。

そんな風にして、

結果の通知がくる日、そのものを知ってはいるけど、もうあまり考えないようにしていた。


6月の最初の週末。

広島は、規制もだいぶ緩和されてきたこともあったし、

観たい映画があったし、

とても久しぶりに映画館へ行って、

行きつけのお店で少し飲んで帰るという日常を送ろう、

ただそれだけの6月5日を過ごすつもりだった。


久々に酒気帯びで夜遅くに帰宅して、

「いつも通り」楽しかった快と奪われた体力への後悔が混じった気持ちを背負いつつ、

「いつも通り」さっさとお風呂に入って寝てしまおう、と、

歯ブラシを口にくわえてメールを開いた。


目を疑った。

「Barcelona Indie Filmmakers Festival」から「Official Selection」にノミネートされたというメールが届いていた。

実際に何度も目をこすった。

酔っ払った深夜の目と頭に入ってくる外国語の文字が、

私をより一層混乱させた。

https://www.madriff.org/en/Short-Films-2/

夢じゃ、なかった。

この混乱と「夢じゃない」という確認を、

夜中、映画のグループメッセージに投稿して、

起きてた2人が一緒になって確認してくれた。


この映画祭は、

月に一度映画のセレクションを行っていて、

そのセレクションの中から、月末に勝敗とは関係なく上映会を実施する。

そして、7月の第1週に全月のセレクション作品の中から、受賞者を選出し、

7月末に映画祭を開催する、というものだ。


上映してくれるかどうかはまだわからないものの、

現時点、審査員の誰かはこの映画をちゃんと観て、

作品がその人にちゃんと届いたからノミネートに至ったわけで、

それだけで、私はすでに感動した。


だって、

名もなき私たちが、不器用ながらも作った作品が、

海を越え、

言葉も文化も全く異なる人に届いたんだもの。


私は、

今までの人生で、努力が報われたことってほとんどないので、

報われなかったからと言って、なんということもないんだが、

少しずつの積み重ねが、少しでも誰かに届いた、やってよかった、と思えることって、

嬉しいことなんだな、と改めて思った。


あちこちに書いて言いつくした言葉ではあるけれど、

私がこんな気持ちになれたのも、

前作含め、作品に関わったり、私のことを支えてくれた人たちのおかげだと思っている。

ありったけの感謝の気持ちを伝えたい。

これを機に、英語字幕版の予告編もYouTubeに公開しました。

またここから、

繋がりやおもしろい展開が生まれるといいな。



PS: 私の名前に、国旗が付くということが、自分の人生にあると思ってなかったです。

Donuts Films

映画監督・俳優 前田多美です。 映画に関することはもちろん、 大切にしたいお料理のこと、お気に入りの日々のことを総括したサイトです。